【完】甘い恋よりもそばにいて
アクアマリンの原石は
透明で爽やかな色調のスカイブルー
加工したネックレスや指輪はどれを取っても上品で魅惑的。
「確かアクアマリンって」
先輩が付け加えるように口を開いた。
「“海の女神からの贈り物”って言われてて、愛情のお守り…じゃなかったっけ」
「えっ?ホントですかそれ!」
予想外の偶然…
重なり過ぎてちょっと怖くなる。
「科学的根拠はないが、
幸せな結婚へと導く石としても有名で
幸福と夫婦和合、穏やかな結婚生活の守護石として大切にされてきた…そうですよね?」
先輩は店員さんに話しかける。
「えっと、あ、はい。
アクアマリンが象徴するものは、
“幸福、健康、富”。
また、アクアマリンの伝承は、“結婚への迷いをなくす”。
これらはいずれも古代から語り継がれ信じられてきたそうです。
硬度が高く耐久性に優れているため比較的傷もつきにくく、気軽にアクセサリーとして身につけられます」
店員さんはニッコリと営業スマイルで柔らかく微笑んだ
へぇ~。
まさに婚約祝いにピッタリの誕生石だったのか。
そらからネックレスはかなりすんなりと決まった。
買ったのは、
ハート型に加工されたアクアマリンが輝くかなりシンプルなデザインのもの。
帰りの途中の車の中で。
「ネックレス気に入ってもらえるか、自信ないなぁ」
「んな心配すんなよ。大丈夫だって
あんなに真剣に選んでたし」
「ありがと…先輩」
窓越しに広がる世界は薄暗く、
黄昏ていた。