【完】甘い恋よりもそばにいて
「歩く~ん、莉華さ~ん!!」
無邪気な笑顔はなんの汚れもなく向かってくる
きっとそれは
どんなものにも勝るだろう。
「由…奈さ…ん?」
状況が把握出来ないあたしの隣で
「やっと来た…」
何度も頭の中を反響する先輩の言葉。
由奈さんの右手につながれた手。
………。
無邪気な笑顔は
罪だと思う。
時として、
間違った解答を
正当化させてしまう。
だいたいの予想はつくよ
これを仕組んだのは先輩。
そうなんですよね?
そんな思いを込めて
視線を送った。
「言ったじゃん。俺、卑劣なんだって…。んな顔されても」
そう言われても
あたしの無言の抵抗は続く。
「もぅだいっきらぃ…」
「言ってることとやってることが矛盾してるけど?」
「うるさい」
そう言いながら
あたしは先輩を強く強く
抱きしめたんだ。