【完】甘い恋よりもそばにいて
「なんでこんなこと…」
顔を先輩の胸にうずめて
問いかける。
「知りたかったから。お前の好きなヤツ」
彼の言葉は過去形じゃない。
その事実がなによりも切なくて
否定出来ないあたしは
先輩以上にもっと、
卑劣な女だった。
「苦しめたいわけじゃないんだ、
って言っても無理だけど。俺のこと嫌いになってもいいから、今日だけ付き合って」
表情は見えないけれど
先輩も今きっと必死な顔をしているはずだ。
「もう歩くんが誘ったんでしょ?
いつまでも彼女とイチャついてないでよ!」
気付けば、
何も知らない無邪気な天使は先輩の隣へ
「ぁー悪い…」
気だるそうに言葉を返す先輩。
気まずくなって下を向くあたし。