【完】甘い恋よりもそばにいて



あたしは一体何なのだろう

啓にとって…。





啓はしばらく外を眺めると
おもむろに携帯を取り出した。



ディスプレイは
見えないから


何をしてるからわからないけど
由奈さんにメールでも
しているのかも…。





人間観察ばかりやっていたら
嫌われるかもしれないと
思いつつも
沈黙を破る、



一声はかけられない…。




下をうつむくばかり…







「莉華…」






え?
今、名前…呼ばれ……た?




恐る恐る…



どうか聞き間違いなんかじゃ
ありませんように…



そう願いながら
顔を上げた。





そこには、
ただ真っ直ぐに

あたしを見つめる啓がいた。









< 380 / 397 >

この作品をシェア

pagetop