【完】甘い恋よりもそばにいて
「先輩…?!」
あたしは遊園地内の
人影のない路地裏に連れてこられた。
冷たいコンクリートの壁に
おいやられる
先輩は壁に両腕をついて
そしてそこは
逃げ場のない場所へ変わる。
先輩はあたしをまじまじと見つめる。
その瞳の色は
何か、抱え込んだように
苦悩している。
あたしはなんだか怖くなって
何度も先輩を呼びかけた。
「先輩……せんぱ」
あたしの言葉は
先輩のキスによって途切れてしまった。
もうほんと強引。
何考えてんのか、全然分かんないよ。
あたしはただ先輩の行為を受け止めた。
その行為が終わると
先輩は真剣なまなざしを
こちらに向けてきた。
そうまるですべてを
見透かしたかのように…。
「莉華、俺たち別れよーぜ」
誰もいないこの場所で
先輩の声が何度も反響した。