【完】甘い恋よりもそばにいて
「え……?
どう……し…て…?」
「なんかさぁ、飽きた。それだけ」
先輩は冷たい声と
冷たいまなざしであたしを遠ざける。
彼の表情からは
もうなにも感じ取ることはできない。
先輩はしたたかに
笑みを浮かべた。
「じゃあ、そーゆうことで」
あたしを捉えていた
両腕をサッと離し、
立ち去ろうとする彼。
完全にあっけにとられたあたしは
驚きと脱力感で身体が動かなかった。
でも次第に……
思考回路が正常に働き始めて
先輩への想いが募る。
見つめるのは悲しく映る、
先輩の後ろ姿。
「飽きたとか…ばっかじゃない?
いきなり振られるこっちの身にもなってよ」
かなり大きな声で言ったけど
先輩はスタスタと歩みを進める。
もーやだ。止まってよ。
その思いで駆け出した。
先輩、
あたしはそんなあっさり振られて
簡単に諦めきれるような女じゃないよ。
━━━ぎゅぅ…
先輩の後ろ姿に思いっきり抱きついた。
「勝手に離れていかないでよ、バカ」