【完】甘い恋よりもそばにいて



「え……?
どう……し…て…?」











「なんかさぁ、飽きた。それだけ」



先輩は冷たい声と
冷たいまなざしであたしを遠ざける。


彼の表情からは
もうなにも感じ取ることはできない。




先輩はしたたかに
笑みを浮かべた。


「じゃあ、そーゆうことで」


あたしを捉えていた
両腕をサッと離し、


立ち去ろうとする彼。



完全にあっけにとられたあたしは
驚きと脱力感で身体が動かなかった。



でも次第に……
思考回路が正常に働き始めて



先輩への想いが募る。




見つめるのは悲しく映る、
先輩の後ろ姿。



「飽きたとか…ばっかじゃない?
いきなり振られるこっちの身にもなってよ」


かなり大きな声で言ったけど
先輩はスタスタと歩みを進める。




もーやだ。止まってよ。


その思いで駆け出した。

先輩、
あたしはそんなあっさり振られて
簡単に諦めきれるような女じゃないよ。















━━━ぎゅぅ…
先輩の後ろ姿に思いっきり抱きついた。



「勝手に離れていかないでよ、バカ」





< 393 / 397 >

この作品をシェア

pagetop