【完】甘い恋よりもそばにいて
波羅もこれ以上やっても無駄だと分かったのか
「あたしが莉華を支えるから……」
そう切なそうに呟いてあたしの左手を軽く握った。
あたしは再び意識を啓に集中させて話の流れを掴もうとした。
「俺は……えっと自分で言うのもナンなんだけど……一応、沖田財閥の長男で…。」
ちょっと恥ずかしがっているのが分かった
「おいおい、しっかりしろよ~」って言われたりしてるし…。
「うるせーよ…」
って顔を赤らめながら返す啓をつい可愛いと思ってしまう。
そんなヘンテコなやり取りをきいてくうちにまわりが自然と和んでて、
あたしまでフッて笑みがこぼれるくらいにやけてた。
だからちょっと緊張の糸が解けたような気がした
こんな笑い合いながらできる話ならそこまで酷くはないのかもってね。