【完】甘い恋よりもそばにいて
ギュッ……
いろんな考えが頭の中を駆けめぐってて気づかなかった
波羅があたしの手を握って…握り続けてくれていたことに……。
あたしはいつも伝えられない
波羅があたしを支えてくれることに感謝してるって……
今だってそう……
またあたしは波羅を置いてこの場を逃げ去るつもりだから。
「波羅…ごめん。向き合うとか言っといて……」
「莉華のせいじゃないから……」
握られた手に力が入った。
「波羅はこのまま同窓会楽しんだら……?」
心をやっと落ち着けて冷静な判断をしようとする。
「はぁ!?なに言ってんのよ…あんたそんな状況じゃない……」
「…ありがとう。いつも波羅がいてくれるから笑ってられるんだよ」
波羅の言葉を遮ってそう言った。
作り笑いが上手く出来てるかがかなり心配なんだけど……。
「心配しないで、死んじゃったりはしないから…ただちょっと……」
「ちょっと…なに……?」
「……ううん、なんでもない。じゃ、はいそういうことだから…あたしもう帰るね、みんなには…そうだな……体調が悪いからとかなんとかテキトーに言っといて……」
向こう見ずになってもいいかなと思った…
なんて言ったらきっとあたしを解放してはくれないだろう。
将来のことなんてなにも気にせずに…
なんて言えるわけない。
懸命に取り繕ったウソ。
強がりなのが見え見えだ。