【完】甘い恋よりもそばにいて
「やだよ……これ以上莉華を…」
「ほんとにもういいんだって……」
そう言いながらあたしは波羅の手を離していた
それから波羅はただ俯いて…さっきいた席に戻っていった
誰にも気づかれないように注意してそっと大広間をでた。
おばさんにも、利香ちゃんにもあいさつせずに
ひたすら出口の方向だけを見つめて足を進めた。
たびたび天井を見つめ
溢れだしそうな涙をぎりぎりのとこで止めた……ここで泣いちゃいけないと分かってる。
啓に感づかれでもしたらすべてが台無しだと…分かっているから。