Crossroad〜私の選ぶ道〜
「最初は仕方ないって。だからそれを理由に仕事して。俺も甘えてたんだと思う」
「……分かる」
私も徹に対して同じだった。
徹が気にするなって言ってくれるのが素直にラクだと思った。
いつの間にか仕事だと言うと何も言わなくなった徹に私も甘えてたから。
徹がその時、どんな事を考えて。
私をどう思っていたかなんて、これっぽっちも考えた事すらなかった。
「たまたま、会議がなくなったんだ。だから久々に早く帰れる事になったあの日……」
ドリンクフォルダーにあった缶コーヒーに手を伸ばした彰吾は一口飲むと息を吐き出した。