Crossroad〜私の選ぶ道〜
「初めてだった。女を殴りそうになって……きっと徹がいなかったら俺はあいつを殴ってた」
無言だった徹に押さえこまれ、我に返ったと呟いた彰吾。
その場面に居合わせなかった私ですら寒気がする。
桃香が……?
私の知ってる彼女はそこには居なくて。
いつもニコニコしていて、さりげなく気遣う優しさがあって。
困った事があればさりげなく手を差し伸べてくれていたその存在。
彼女は私に対して今までどんな思いで接していたんだろう。
彼女はどれだけ苦しんできたんだろう……
――――カチャ……
どこかで鍵の開く音が聞こえる。