Crossroad〜私の選ぶ道〜
日付が変わる頃、エレベーターを降りた彰吾は部屋の前に座り込んでいる徹を見つけた。
徹は本当に彰吾を待っていた。
「昨日も寒かったし、さすがに部屋に上げた。徹は黙ってコーヒーを飲んでて」
だけど沈黙は長く続かなかったと言葉を続けた。
徹は初めて自分の胸の内を打ち明けた。
それは今日私に話した内容とほとんど変わらなかったらしい。
だけど……
「アイツは俺に頭を下げたんだ。もし……」
「もし?」
「もし……まだ俺が菜月を想っているなら、菜月を助けてやって欲しいって」
『……助けたい』
昔の記憶が蘇る。