Crossroad〜私の選ぶ道〜



私の傍でかがみこんで心配に見上げている女性。



小声だったけど、すぐ隣で振り返る気配。



「菜月、大丈夫か?」


「うん。大丈夫」



ヒソヒソと話す私達は、ここにいる人達より少し高い場所にいて。


私はもう一度桃香に視線を戻した。



「――――菜月、彰吾さんとこれからも末長く幸せに。今日は本当におめでとう」



パチパチと会場内から拍手が聞こえる。


お辞儀をしてテーブルに戻る桃香を優しい目で迎えているのは徹。



『横山 徹』


『横山 桃香』



テーブルの上に置かれた席札。



1カ月前に私が自らの手で作ったものだ。





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