Crossroad〜私の選ぶ道〜
「菜月はいつも自分の嫌な事ははっきり言い切れるし、思った事も腹にためずにちゃんと話してくれて」
「それは徹だから。徹にだから言えたんだよ?」
「分かってる。俺はいつも菜月の意見をちゃんと聞いてたから」
「じゃあ!」
「だけど、菜月は俺の話に耳を傾けてくれた事があった?」
徹の問いかけに嫌な汗が背中を伝う。
傾けた事があったって?
いつも傾けてるよ?
ちゃんと聞いてるよ?
そう伝えたいのに、徹の目を見ると声が音にならなくて。
「いつの間にか、俺はお前に何も言えなくなってたんだ」
徹が口を噤んだ時、場違いな明るい声で「お待たせしました」と料理が運ばれてきた。