Crossroad〜私の選ぶ道〜



肩からずり落ちて、腰のあたりにあるのは男物のブルゾン。


見覚えのないそれから覚えのある香水の香り。



この匂いは……



学生の頃から変わらない香りで。


思わずそれをギュッと抱きしめる。



持ち主の姿は車内になくて、エンジンがかけられエアコンが弱くかけられている。


ドアロックはかけられているので、近くにいるかもしれない。


ダッシュボードの時計は17時半を回っている。


フラットになっていたシートを起こし、ショートブーツを一旦脱いで運転席へ移動する。


エンジンを切ってキーを抜くと運転席のドアを開けた。





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