Crossroad〜私の選ぶ道〜
4:相対
―覚醒―
「菜月?」
足音に気付いたのか、彰吾は振り返ってベンチの背に腕を置き微笑んでくれた。
記憶が蘇る。
私は確か……
「……寒くない?」
「ん?あぁ、大丈夫」
「12月なのに、そんなに寒くないよね」
「もうすぐクリスマスだってのにな」
「ホントだね」
ベンチの前に回り込んだ私を追ってくれる視線。
あの時と同じ。
一言一句。
全く同じ会話。
腕を背もたれに置いたまま少しだけ体をずらしてくれて。
空いたスペースに腰をおろす。
彰吾の前には両親と手を繋ぎながらはしゃぐ子供たちがいて。
景色はあの時と違うのに。