Crossroad〜私の選ぶ道〜



「あの時に戻ったみたいだな」


「……覚えてたの?」


「あぁ。台詞まで覚えてた」


「はは。どうしてだろうね?」


「……どうしてだろうな?」



そう言いながら彰吾の視線が私を捉えた。


私は思わずブルゾンの襟を掴んで気付く。



これって彰吾の……



そでから腕を抜こうとすると、一瞬早く背もたれにあった彰吾の手が後ろから肩を押さえてくれて。



「寒いから羽織っとけ」


「彰吾だって寒いでしょ?」


「平気だから」


「でもっ」


「寒かったら、ちゃんというから」



そういって肩から離れた手。


手と一緒に離された目線。


それはあの時にはなかった事。





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