Crossroad〜私の選ぶ道〜
「……半年前、大ゲンカしたんでしょ?」
「ケンカっていうか……でもまぁ、派手にやったな」
「原因は……徹?」
「……俺、すっげー寒くなってきた」
突然の口調の変化に驚いて顔を上げると、すでにベンチから立ち上がっていて。
両手をポケットに入れた彰吾は肩をすくめている。
セーターしか着てなかったら寒いだろう。
ブルゾンは私が借りたまま。
「車に戻るか」
「うん」
少し前を歩き始めた彰吾の後に着いて同じ速度で歩く。
街路樹の明かりが近付いてきて。
薄暗さに慣れていた目に眩しく映る。
――コツッ……――
目を細めながらポケットに入れた指先が冷たくなった金属に当たる。