Crossroad〜私の選ぶ道〜
中にいるから駐禁で切符を切られる事はなくても、ゆっくりおでんを食べるなんて出来ない。
シートベルトを締めた彰吾は車を動かす。
おでんの容器を両手で挟み、すでに暗くなった外へと目を向けた。
イルミネーションはあの一角だけだったようで、目に映る景色が急に寂しく感じる。
しばらく走った車から見える景色は、何度か見た事のあるものに変化した。
大きい車のエンジン音が少しだけ大きくなる。
山道の上り坂にさしかかり、私は車の向かう先を知った。
彰吾は無言で車を走らせていて。
私も無言で流れる景色をただぼんやりと見ていた。