あの場所で─。
私は走っていく上原さんに手を振っていてそこである視線に気付いた。
ん…?
えっと…凄い視線が…
「おい、和樹。
そんなに優衣を見んなよ…」
「あ、ごめん!
なんかどっかで見た気がしてさー」
和樹?
聞いたことあるような…
名前だけじゃわからないと思ったので顔を見ることにした。
顔を上げると目があった。
それと同時に彼の口から声が発せられた。
「あっ!屋上!優衣先輩っ」
一つ一つ単語で言ってきた。
「優衣、和樹のこと知ってんの?」
「あ、うん…
川嶋くん…だよね?」
光ちゃんに言われて返事をしてチラッと川嶋くんを見た。
「うん、憶えててくれたんだっ」
そう言って川嶋くんはニコッと笑った。