いつまでも想い続ける〜切愛〜
「森山ぁっ!今日遊びにいこうぜー!」

「わりぃ!今日は無理だ!」

あれから一年たった。

僕は明るくなった。

政也さ…いや、『お父さん』とも普通にしゃべれるようになった。

母さんも明るくなった僕を見て喜んだ。

僕は変わったんだ。

鈴祢のおかげで。

ただ僕の中で唯一変わらなかった物もある。

それは、僕の胸にぽっかり開いた穴。

鈴祢の存在。

まだ僕は鈴祢を愛している。

その証拠に僕の左手首にはほら、あのゴムがある。

今日も優しい音を響かせている。

「森山って変なゴム付けてるな」

鈴祢のゴムをひっぱって男子が言う。

「俺のお守りだからな!」

僕は自慢げにゴムを見せた。

「なんだよそれぇー?」

「やめろよっ!落とすだろ?」

「見せろってぇ〜」

僕と男子はふざけてゴムの取り合いになった。

「あっ!?」

手が滑ってゴムが窓から落ちた。

「あ…。わりぃ…」

「テメェ後でシメるからな!?」

「きゃー森山くん怖ーい!」

ふざけ続ける男子をほうっておいて、僕は中庭へ走った。

「この辺だったはずなんだけど…」

桜が満開に開いた木の下を僕はゴムを探して歩き回る。

チリリンッ

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