利己的ヒーロー

「おお、失礼。わしはこの街の長老でございます。実は折り入ってお願いがあるのですが……」
声を潜めて老人がささやく。

赤毛の男はそこでようやく口を開き、何事かを伝えようとした。が。

ガゥンッ!

「だーめーだーねぇ〜? ダメダメですよケン君! トドメはちゃぁあんと刺しとけってセンセー教えたでしょぉー?」
銃声。
ふざけた口調に、狂った笑い。

「げ」
赤毛の男はぎこちなく首を回し、声の発信源を見る。
目に映ったのは、笑う黒ずくめの男と、同じく笑い口元を押さえているブロンド美人。
そして腕を撃たれて再び倒れる魔王軍の男。

「………………勇」
うめくように赤毛の男が言う。

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