極道夫婦―18歳の恋戦―【完】
第五章 ―守るべきモノと勇気―
優奈の涙の願い
20分、経っただろうか。
ようやく、病院に着いた。
私は兄貴と、駐車場から走り、入り口を抜け、人を捜す。
暗がりのロビーに見えたお医者さん。
雄「すいません!
さっき知人が運ばれたと思うんですが!」
兄貴が声を掛けると、「運ばれたとすれば、突き当たりを左に行くと、救急外来がありますよ」と、教えてくれた。
2人で「ありがとうございます」と告げ、また走ると、そこには、廊下を往き来する拓馬と、椅子に座り、ボーッと赤く染まった手を見つめる夏輝が居た。
私が夏輝に抱き着くと、頬にまで血を付け、瞳の色を失った夏輝が、私を見た。