極道夫婦―18歳の恋戦―【完】
掃除機の音が耳に入るが、私の目は、どこを見ても何も映さない。
どんなに苦しくても、私の目には、夏輝が映った…―
兄貴や珠樹たちが見えてた…―
なのに、狂わされた心を持つ今、何も見えない。
雄「愛理!」
兄貴が部屋に飛び込んで来た。
雄「お前、今日から夏輝の実家に家に行け。おじさんたちには連絡した。
結婚の話は、俺が解消させるから」
夏「お前、言うつもりなのか」
荷物をまとめ出す兄貴と、兄貴の肩を掴んだ夏輝。
兄貴はボストンバックを夏輝に押し付けた。
雄「愛理を任せた」
兄貴の真剣な眼差しに、夏輝は頷くしかないらしい。