最後の恋


「前の彼はそんな事しなかったんだろうけど
俺はする、俺の渚を傷付ける奴は
女だろうと容赦しねぇ」

私は並木君の口から慰謝料請求する事も
辞さないと言われて血の気が引いた…

「そこまで…」

「前の奴は、ほんとは慰謝料請求したかったと
思う、どんな形にせよアンタと係わり合いが
出来んのが嫌なんだろうなだからしなかった
アンタがした事によって彼女、精神科に
暫く通ったらしいしな」

「そんなの、私のせいじゃないわ」

「そんな事、言っていいのか」

「私のせいじゃないもの」

「可哀想な女だな」

「・・・っ!!」

並木君が私を可哀想だと言った
その瞬間に私の中の並木君に
対する感情が変わった

「…認めりゃいいんでしょ」

「開き直りか」

「別にいいじゃない…
彼に嫌がらせのメールを
送ったのも電話をしたのも
全部私よ…
だからって何よ!!
そんなんで別れたりすんなら
所詮その程度って事でしょ」

「前の事、言ってんだろうけど
俺が思うに前の奴、
彼女と別れてなかったと思うぞ」

「そんな訳ないじゃない!!」

「アンタが彼女に対してこれ以上
何も出来ないように別れた振りして
暫くの間アンタに付き合った」

「…そんなの嘘よ!!」

「ほんとの事は分かんねぇ
けど、そいつはその彼女と結婚して
幸せに暮らしてんだろ」

「…えぇ…そうね」

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