最後の恋




「…あの…聞いて…くれますか」

「はい」

「言ってごらん」

私達は、黙って渚君の話を聞いた。

「そんな事があったのか、辛かったな」

「・・・はい」

「そうね、渚君も辛いけど
恭ちゃんも辛いわね」
「そうだな」

「・・・っ!!」

「恭ちゃんは、渚君にちょっとした事
でもいいから、何かあったら
言ってほしいと、そう渚君に言ったのに
その事実を知ったのは渚君を目の前にし
渚君の口からじゃなくて、渚君がいない
家で、手紙という手段だった。」

「しかもだ、自分は何も気付けなかった
その事もある、初めての人数と長期の
仕事っていうのもあって、
自分の事で精一杯だった…
休日も渚君と一緒にいたのにって
思いもあるだろうからな」

「・・・」



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