最後の恋
「志岐さん、どうしてアクアをだしたの?」
「それ、俺も聞いてみたい
店だすには、立地的には不利だと思うし…」
「そう思いますよね」
「うん」
「はい」
「ここは、元々ソルンという
喫茶店をやっていたんだ
偶然見つけたお店でね
私は、すぐお気に入りのお店になりました
リラックスできますし、お店の雰囲気も
とてもよかったので、よく大学の帰りに
寄ったりしていました」
やっぱり、ここのお店は
そういう感じで発見される事が多いんだ
「大学を卒業して、外資の会社に就職してからは
お店から、足がとうのいてしまいました
私に、彼女ができてから余計にとうのきました」
何となく、分かる気がする
「彼女は、ソフィといいます
L.Aで生まれて千葉で育ちました
彼女と付き合って4年経った時に
彼女にプロポーズしようと思ったんです
そう思ったとき、急にソルンに
行ってみたくなったんです」
「お店は、なかったんじゃないですか?」
「えぇ、ソルンはなくなっていました
それに、売りに出されていたんです」
「客商売には、あんまり合わないですからね」
「恭司君、私はここで50年してますよ」
「そうだよ、恭司」
「…そうでした」