サクラノヒメゴト
パタンとあたしの本を閉じて
ベッドから立ち上がる
クシャクシャ
細く長い指があたしの濡れた髪の毛に絡まる
「ちょっ・・・やめてよっっ」
あたしは慌ててその手を払いのけた。
「じゃーね。さくらちゃん♪」
でもまだ手は離れない。
最後にあたしの髪を
くしゃっと握って離した。
ガチャっ
やっと出て行ってくれるのか・・・。
「あっ・・・!そう~だ」
「ん?」
何を思ったのか急に止まった。
「俺、隣の部屋だから。
気をつけてね~♪」
「は?何言って・・・」
「おやすみー。」
ガチャン
あたしだけを残した部屋にはドアが閉まる音しか響かなかった。