サクラノヒメゴト

父ちゃんの左手は何気なく背中に隠れた。
そして、最近伸ばし始めた後ろ髪を少し掻いて喋り始めた。

「剣汰の部屋はなー。
父ちゃんの隣の部屋に移動したぞ」

「はっ?なんで?」


さらっとそんなことを平然と言う。


「なんか、風水的に剣汰の部屋じゃないと
ダメです。って黒崎くんが言ってなぁ
入れ替えたんだ。」

「・・・・・。」


・・・父ちゃん。たぶん騙されてるよ(汗)




「そーいえば、黒崎君ってさくらのクラスなんだろう。
仲良くしてやれよ。
困ったときにはお互い様だからな。」

近くにあった新聞を手に取りいきなり言い出した。
って、どんだけ新聞持ってんの!?

「ごめん、むり。」
「むりはなし。」


「じゃあやだ。」



やだに決まってんじゃん・・・
人の初キスいきなり奪った人なんだよ?

思い出しただけでもムカムカする。

「言っとくけど、黒崎君の迷惑かけたら
倍に練習メニュー増やすかんな。」

「ひっ卑怯だよ!父ちゃんっっ」

あたしは慌てて胸の前に腕を出してバリアをつくる。

・・・?どっちかっていうと
迷惑かけられてるよッ!!!







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