サクラノヒメゴト
あの一瞬で『彼女』を見かけなかったら
俺は今頃どーしてたんだろう。
まだ、あちこちの学校を転々としてたのかな?
たしか5月下旬ぐらいだった。
「橋本、六本木まで車を出してくれ。」
「かしこまりました。拓海様。」
今日は、俺の親父の会社の創立祭。
おれは息子であり次期経営者だから絶対に
出席しなければいけない。
めんどくせ・・・
弱音ばっか吐いていられないか・・・。
周りを圧倒するようなリムジン。
道行く人はみんな振り返る。
そりゃそーだな。
金持ちって思うんだろうな。