有意義な時間の使い方
死神は顔が変えられる── そう言った。
でも── 。
さっきまで同じ顔をしていた死神の顔はいつの間にか女の子になっていた。そう── 俺の隣に住んでいる幼なじみの少女、ありす、だ。
「……どうした、啓一」
「あ……なぁ、死神」
「ん?」
ありすと同じ声で問い返すありすと同じ顔の死神。
「横山ありす、なの?」
「知り合いか?」
「……ちょっと?」
本当はちょっとじゃない── なんていったらいけないような気がしていた。
(ありすが── ありすも、死ぬ?)
幼なじみで、真面目。ありすなんてふざけた名前をつけられたことにちょっと憤慨していた幼なじみ。
しっかり者で、面倒見が良くて……そんでもって……。
「横山ありすの死亡が今夜予定されている。このところここの町では仕事が多くて困る。お前みたいに刈りやすい奴ばかりならいいんだがな」
肩をすくめてありす── いや、死神が笑う。
横山ありすの死亡なんて……聞きたくなかった、と歪に口元が歪んだ。
(ありすが死ぬ?)
(ありすが死ぬ?)
(そんなの── ありえねぇ)
未来予想図の中に居た俺と結婚するかもしれない『どっかの誰か』はこころのどこかで『ありす』って決めていた。
時埜啓一の奥さんになってくれる時埜ありす、響きだって悪くない。
俺が死んだのを除けば── だけど。
「死神、ありすはなんで……死ぬんだ?」
「横山ありすか?横山ありすはお前の通夜に来て、それでつきまとうものに殺されるみたいだな」
「……つきまとうもの?」
「横山ありすの狂信者だ。なんでもありすがお前の為に泣くのが嫌だ、なんていう理由らしい」
馬鹿みたいだな、と死神が笑う。
狂信者って何だ?何なんだ?てかありすは俺のせいで死ぬ── のか?
(ありすが死ぬなんて許せねぇ)
ごくり── と既に唾なんて出るわけもない喉が鳴った。
でも── 。
さっきまで同じ顔をしていた死神の顔はいつの間にか女の子になっていた。そう── 俺の隣に住んでいる幼なじみの少女、ありす、だ。
「……どうした、啓一」
「あ……なぁ、死神」
「ん?」
ありすと同じ声で問い返すありすと同じ顔の死神。
「横山ありす、なの?」
「知り合いか?」
「……ちょっと?」
本当はちょっとじゃない── なんていったらいけないような気がしていた。
(ありすが── ありすも、死ぬ?)
幼なじみで、真面目。ありすなんてふざけた名前をつけられたことにちょっと憤慨していた幼なじみ。
しっかり者で、面倒見が良くて……そんでもって……。
「横山ありすの死亡が今夜予定されている。このところここの町では仕事が多くて困る。お前みたいに刈りやすい奴ばかりならいいんだがな」
肩をすくめてありす── いや、死神が笑う。
横山ありすの死亡なんて……聞きたくなかった、と歪に口元が歪んだ。
(ありすが死ぬ?)
(ありすが死ぬ?)
(そんなの── ありえねぇ)
未来予想図の中に居た俺と結婚するかもしれない『どっかの誰か』はこころのどこかで『ありす』って決めていた。
時埜啓一の奥さんになってくれる時埜ありす、響きだって悪くない。
俺が死んだのを除けば── だけど。
「死神、ありすはなんで……死ぬんだ?」
「横山ありすか?横山ありすはお前の通夜に来て、それでつきまとうものに殺されるみたいだな」
「……つきまとうもの?」
「横山ありすの狂信者だ。なんでもありすがお前の為に泣くのが嫌だ、なんていう理由らしい」
馬鹿みたいだな、と死神が笑う。
狂信者って何だ?何なんだ?てかありすは俺のせいで死ぬ── のか?
(ありすが死ぬなんて許せねぇ)
ごくり── と既に唾なんて出るわけもない喉が鳴った。