永遠の翼
放課後。


教会の裏手の墓地に俺はいた。


俺に最初にピアノを教えてくれた人。


今日がその人の命日だ。


俺の・・・祖父の墓。


墓前に立つ。


「どうしたんですか、こんなところで」


背後から声。


「・・・新藤か」


俺は振り返って声の主の名を呼ぶ。


「あまり驚かないんですね」


「・・・まあな」


自分でも不思議だった。


彼女がこの場所にいるのに、違和感を感じなかった。


「何しに来たんだ?」


「教会にいたら、たまたまあなたの姿が見えたので降りてきただけですよ」


「そうかよ・・・」


「はいっ」


新藤は微笑む。


すべてを見透かしたかのように。


< 122 / 230 >

この作品をシェア

pagetop