永遠の翼
「わたしにも、いました」


「・・・何がだ」


新藤は目を開けて答えた。


「大切なひとが。


―――失ってはいけないのに失ってしまった、大切なひとが」


「・・・・・・」


風が吹く。


冷たい冬の風が、肌寒く思えた。


「だから、わたしは・・・今度こそ・・・大切な―――」


―――その先は聞いちゃいけない。


俺は直感でそう悟る。


「・・・新藤?」


俺がその名を呼ぶと、新藤は我に帰ったかのように俺を見る。


「・・・すみません」


「いや・・・」


俺はポリポリと頬を掻く。


「あのさ」


「はい?」


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