永遠の翼
翌日の放課後。


「何故だかわからないが、俺は優子と一緒に屋上にいた」


「・・・そう言うなら帰ればいいじゃないですか」


膨れっ面で優子が言う。


「そんなわけにもいかない。お前に用があったんだ」


「別にここで会わなくても、詩織の家で会えるじゃないですか」


―――詩織の家。


やはり優子は・・・どこか線を引いている。


俺たち家族に。


たとえ楽しそうにしているときでも、心に雨を降らせている。


俺が見たいのは、彼女の心からの笑顔だ。


「いや、ここの方が言いやすい」


「それで、何ですか?」


「詩織から聞いているな?市民ホールでやるコンサートのことは」


「・・・はい」


「俺もそれに出る。


だから・・・お前も聴きに来いよ」


俺の音を聴きに。


「・・・言われなくても行きますよ。私は音楽は好きですから」


「そっか。ならよかった」


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