永遠の翼
コンサートは進んでいく。


様々な人たちが、音を奏でていた。


詩織の、底抜けに明るい感じ。


篠原さんの、躍動感あふれる音。


皆、輝いて見えた。


私も、音を奏でたい。


でも、今の私は・・・


右手に力を入れようとする。


・・・力が、入らない。


今の私は、音を奏でることができない。


過去に囚われたままで、いいはずがない。


過去の自分にすがろうとすることが正しいことだとは思わない。


でも、こうして音楽を聴いていると。


昔の、輝いていたころの自分を思い出せる。


幸せだったときを、思い出せる。


どうして、私は過去を捨てられないんだろう・・・


そんな自分に嫌気が差す。


そんなことを考えていると、あっと言う間にコンサートは進んでしまう。


「お待たせいたしました!今日のお待ちかね・新気鋭のスター、月島 宏のピアノソロです!


曲名は『love song』です。どうぞお聴きください!」


最後の演奏者を告げるアナウンスが入る。


聴衆の中からどよめきが聞こえる。


そして、彼がステージの上に出てきた。


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