永遠の翼
威風堂々。


そう形容するのがふさわしかった。


きっちりと着こなした制服。


キリッとした目つき。


何というか・・・かもし出すオーラが既に違う。


この人の演奏が聴きたい。


そう思ってしまう。


でも、聴きたくないと思う自分がいる。


見せ付けられるから。


彼と自分の差を。


輝きを増し、前に進もうとする彼と。


過去にすがり、後ろを向いている私との。


隣を見る。


茜は厳しい顔つきで見守っていた。


彼の、成長の証を。


彼が椅子に腰掛ける。


そして、ゆっくりと・・・奏で始めた。


彼の音を。


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