永遠の翼
その日常の中、彼は古臭い教会でこう言っていた。



「式は、この教会で挙げたいな」



「いや、婚約なんてまだしてませんし」



「もしもの話だよ」



「でも、どうしてですか?」



「この教会は、俺が生まれる前からあったものなんだ。ずっとこの街で、俺の成長を見守ってくれたこの教会で、結婚式を挙げたい」



「こだわりますね」



「俺はこの街が好きだからな。たとえ変わったとしても、この街の別の好きなところを探す。それくらい俺は好きだから」



「そうですか・・・」



「言っておくけど、きみのことはずっと愛してるぞ」



「恥ずかしいことを堂々と言わないでください」



わたしも、彼のことを愛していた。



きっと、彼と同じくらい。



ずっと、いっしょにいたいと。



そう願っていた。



けど、日常が壊れるのは一瞬だった。



幸せが壊れるのは、一瞬だった。



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