永遠の翼
「よっ。おふたりさん。久しぶりだな」


校門の前で、茶髪の男子生徒に声をかけられる。


「いや、昨日会っただろ」


「俺は詩織ちゃんに言ったんだよ」


「あっそ・・・」


篠原 政人(しのはら まさと)。


俺の親友で、吹奏楽部の打楽器担当だ。


自称・打楽器の王様。


気さくで明るい奴で、交友関係も広い。


整った顔立ちも手伝って、女子の隠れファンは多い。


ちなみに言うと、詩織も政人のファンのひとりだ。


それでいて成績も優秀、スポーツ万能と、まさに天才肌の人間。


入学したときからコイツとは妙に馬が合う。


「政人さん、おはようございますっ」


詩織が元気いっぱいに挨拶する。


「おう。詩織ちゃんはいつ見ても可愛いねぇ」


「おだてても何も出ませんよぉ~」


「俺は事実を言ってるだけさ」


「ありがとうございますっ」


「アホなこと言ってないで、行くぞ。遅刻する」


そんなことを言いながら3人で歩く。


この日常は、退屈だけど楽しいものだ。


そしてふと、思う。


―――こんな日々にありがとう、と。


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