永遠の翼
そんなことを考えていると、宏さんが屋上に来た。


「悪いな。少し遅くなった」


「別に気にしてませんよ。考え事をしていたところでしたから」


「考え事?」


「はい」


「何を考えていたんだ?」


宏さんが尋ねる。


「・・・詩織に、聖歌隊に誘われたんです。そのことで少し」


「へえ。それで、どうするんだ?」


「まだ考え中です」


「そっか」


私の隣に立ってくる。


「やってみろよ。聖歌隊」


穏やかな顔でそう言う。


「一緒に宝物を探すって言ったろ。


聖歌隊がお前の宝物になるかどうか。


それは、やってみないとわからない。違うか?」


「・・・いえ」


宏さんの言う通りだ。


彼のあの演奏を聴いたとき、自分が惨めに感じた。


あんな自分でいたくない。


変わりたいのなら、自分が変わらなきゃいけない。


ましてや私には、こうして変わるきっかけがある。


ここで変わらなくて、いつ変わるんだ。


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