永遠の翼
―――彼女を、助けることはできないのかな?



―――この世界に来ることを、防ぐことはできないのかな?



わたしはそう尋ねていた。



永遠の世界の案内人に。



―――あるよ、ひとつだけ。



彼は答えた。



―――彼女が、新しい幸せを見つければいい。



―――そうすれば、彼女はここに来る必要はない。



―――生きる理由を持てば、永遠を求める必要もない。



彼がわたしを見る。



―――これは、契約。



―――今から、2度目の雪の季節の終わりまで。



―――きみは、向こうの世界に行く。



―――向こうの世界に、伝言者を立てる。



―――伝言が伝わった日に、きみはこの世界に戻る。



案内人がそう告げる。



タイムリミットは1年。



それまでに、彼女の幸せを取り戻す。



わたしに、それができるだろうか。



でも、できなくちゃいけない。



それが願いなのだから。


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