永遠の翼
―――でも、対価がいるよ。



彼が言う。



―――対価?



わたしは訊き返す。



―――きみの妹と、きみとの関係性。



―――彼女から、きみに関する記憶はなくなる。



―――それに、きみにできることは限られている。



―――それでも、きみは彼女の幸せを望む?



彼の問いに、迷いなく頷く。



―――なら、もう一度ここに戻るという、契約を。



そう、これは契約。



この世界で永遠を捨てようとするものへの。



―――うん。


彼の冷たい手が、わたしの頬に触れる。



そして、口づけを交わす。



契約の証を。



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