永遠の翼
わたしは、白い翼を身に纏う。



―――その翼が、連れて行ってくれるよ。



彼がそう教えてくれた。



どこか優しい目で。



―――いってきます。



場違いかもしれない。



けれどわたしはそう告げた。



―――え?


彼はよく意味がわかっていないようだった。



―――向こうの世界では、どこかに行くとき、こう言うの。



―――ぼくは、なんて言えばいいのかな?



彼が困ったように訊いてくる。



―――いってらっしゃい、って言うんだよ。



わたしがそう教えると。



―――いってらっしゃい。



彼が笑顔で言った。



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