永遠の翼
「月島さん、もしかして私に見とれてましたか?」


「は・・・?」


「私の顔をまじまじと見ていましたから」


「悪いが、その発想はないな・・・」


まあ、可愛いとは思ったが。


「さりげなくひどいことを言いますね・・・」


「・・・肯定されて欲しいのか?」


「否定されるよりは、肯定されるほうが嬉しいですよ」


「あ、そ・・・」


少しの間をおいて、音羽が話し始めた。


「・・・私、あなたのこと、知ってます。去年、東京のコンクールのピアノ部門で金賞を取った・・月島宏さんですよね?」


・・・この学校で俺がピアノをやっていることを知っているのは、政人と詩織だけ。


だが、ふたりにはこのことは秘密にしておくように言っている。


あまり人には知られたくないからだ。


「・・・なんでそのことを知っている?」


「自然とそういう噂は私の耳に入るんですよ」


「お前も、何か音楽をやっているのか?」


「・・・いえ」


言いよどんだ。


少し気まずそうな顔をして。


「まあいいや。それよりも、このことは人に言わないでくれるか?」


「・・・どうしてですか?」


「あまり人には知られたくないからな」


「分かりました。誰にも言いませんよ」


「サンキュー。助かるよ」


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