永遠の翼
考えながら走っているうちに、校門の近くに来ていた。


時間を、ケータイで確認する。


・・・どうやら、間に合ったみたいだ。


私は走るスピードを緩め、歩いて校舎へと向かう。


「優ちゃんっ、おっはよー♪」


下駄箱の前で、元気なクラスメイトに声をかけられる。


「うん。おはよう、詩織」


わたしも、詩織に挨拶を返す。


彼女とは、始業式の日に知り合って以来の付き合いだ。


「今日もいい朝だね~」


詩織が機嫌よさげに言う。


「詩織、なんかいいことあった?」


「うんっ。平穏な朝の食卓が戻ったからねっ」


「何それ?」


「・・・今日の朝ごはんは、普通にパンと目玉焼きだったから」


そうじゃない日があるのだろうか。


知りたかったが、訊くのは怖かった。


彼女は、相当家族が好きらしい。


いつも、嬉しそうに話をする。


それを聞くと、家族っていいものなのかな、と思う。


・・・私には、どれだけいいものなのかよく分からないな。


複雑な考えを抱きながらも楽しくおしゃべりしながら、一緒に教室へと向かった。


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