永遠の翼
「今日も込んでるねー」


詩織が学食を見渡す。


「まあ、学食なんてどこもこんなもんだよ」


学食は、落ち着いたカフェテラスって印象だ。


水瀬の西洋風の町並みが、ここにも息づいている。


ひとがいっぱいでなければ、かなり見栄えがいいことだろう。


「学食だってことが悔やまれるよね、ここ・・・」


「えっ?なんで?」


私の呟きに詩織が振り向く。


「喫茶店としてやってけば、かなり儲かりそうだから」


「うーん。確かに、ロケーションいいもんね・・・」


ふたり、人ごみを掻き分けながら食券の券売機を目指す。


「よう、詩織ちゃん」


ラーメンとご飯を載せた盆を持った男子生徒に、声をかけられる。


「あっ、政人さん」


・・・篠原 政人。


吹奏楽の推薦で入ったほどの打楽器演奏者であることで、一年生でも知らないひとはいないほどの有名人だ。


ちなみに直接話した事はない。


同じ吹奏楽部の詩織と話しているのを、何度か見たくらいだ。


私を一瞥した後、詩織に尋ねた。


「友達も一緒か。よかったら一緒に食べないか?席は取っておくよ」


「だって。いい?優ちゃん」


詩織が私に確認を取る。


「うん。かまわないよ」


嫌だと言う理由もないので、私が頷くと。


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