永遠の翼

新しい生活

目覚めたのは、ベッドの上。


あくびをひとつして、私は起き上がる。


だが。


部屋の景色が違う。


私の部屋じゃない。


・・・ひょっとして、私、誘拐された!?


身代金とか請求するつもりだろうか。


でも、家族は私ひとりだ。身代金を請求する相手がいない。


自分の体を眺める。


特にこれといった外傷はない。


その上ベッドに寝かせてパジャマを着せているのだから、ずいぶん丁寧な誘拐犯だ。


トントン。


ノックの音。


ノックもするのだから、かなり律儀な誘拐犯だ。


「・・・開いてますよ」


「優ちゃん、おはようっ」


私がそう返事すると、パジャマ姿の詩織が明るい声と共にドアを開けてきた。


「えっ!?詩織っ?」


私は驚きの声をあげる。


まさか・・・誘拐犯が詩織だったなんて・・・


「詩織・・・残念だけど身代金はないよ」


「・・・優ちゃん、寝ぼけてる?」


詩織が訝しげに尋ねる。


「ひょっとすると」


「優ちゃんは昨日、ウチに泊まったんだよ・・・覚えてないの?」


私は詩織の言葉の真偽を確かめるべく、自分の記憶の糸をたぐり寄せてみた。


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