永遠の翼
そうして、アパートの前に立つ。


だが、様子がおかしい。


小さい人だかりができていた。


焦げくさい匂いが鼻につく。


「何があったんだ?」


「さあ」


とりあえず、ふたりで寄って行って様子を見る。


「・・・・・・」


その光景に私は絶句した。


・・・アパートに、火事の跡が。


既に火は鎮火しているようだ。


全焼、というほどではない。


私の部屋はかなりの被害をこうむったようで、部屋は原型を留めていなかった。


「あ、優子ちゃん」


管理人さんが私を見て言う。


30代前半くらいの、大人の雰囲気漂う女性だ。


「被害者は?」


私は真っ先にそのことを尋ねる。


「それは大丈夫よ。ほとんどの人が外に出ていていなかったし・・・怪我した人はいても、死人や重傷者はいないわ」


「そうですか・・・」


私はホッと胸を撫で下ろす。


―――よかった。


< 89 / 230 >

この作品をシェア

pagetop