先生は蒼い瞳の狼くん





「し、失礼します」



カーテンをあけて、椅子に腰かけるとクルッと椅子を回して目の前に座る先生が私と向き合う



「えっと、雪村サラさん…ですね?」


「はい」


「今日は薬ってなってますけど、一応胸の音を…」


そう言い資料を片手にその顔をあげ視線が重なった瞬間―…


「あ、キミは…」


「え?」


話すのをやめて、目を大きく開いて、私をじーと見つめてくる


40代後半の黒い髪の毛に整った顔でもの凄くダンディーな雰囲気


優しそうな目元をしていて、全身から善人のオーラに滲み出ている


そんな人―…


え…な、何?


私の事を知っているような反応


誰…?


こんな見た目の印象が強い人、一度あれば絶対に覚えるはずなのに…記憶がない


「あ、あの」


全く話そうとしなく、頭を悩ませている先生に声を掛けるとハッと身体が動いた



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