終末の法則
「きゃっ」

 勇者は無限の刃を受け流して後方へ引いた。

 何やってるんです。逃げてちゃ勝てませんよ。

「そんなこと言ったって、護身術程度しかやったことないのにっ!」

 大丈夫です。黒騎士には勝つことになっています。歴史は正しいのです。

「それってこれから起こる歴史って事?それって予言って言うんじゃないの?」

 どうしてこう素直に動いてくれないんですかね。予言は可能性を元にしていますが、歴史は結果を元にしているのです。歴史は私が綴っているのですから、間違いはないのです。

 黒騎士は、下がった勇者を追って、さらに切り込んだ。

 勇者は、上段から振り下ろされる無限の刃をエア・ソードで受けた。

 互いの力が拮抗し、鍔迫り合いになる。

「くうぅ、あんたさっさと負けなさいよ」

「麗、運命に惑わされるな。そんなものは幻に過ぎない。利用されるな、利用しろ」

「なに訳の判らないこと言ってるのよ。だいたいあたしは麗なんて名じゃないわ。勇者カウストロ・雷電・デイアメイアよ」

「いいや、お前は麗だ。マフィス・麗・デイアメイヤだ。名に使われるな、名を使いこなせ、お前なら出来るはずだ」

「ごちゃごちゃとうるさいわね。これでどうだっ!」

 勇者はエア・ソードの振動波を衝撃波として、黒騎士に叩き付けた。
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