終末の法則
「だからって邪神を復活させることはないじゃない。あなたのせいで何人の人たちが死んだと言うの」

「全ては変化を望んだ結果だ。全ての必要な魂はヴァンズール様と共にある。後はそれを束ねる者、つまり私が加われば良いだけだ」

「させない。そんな真似はさせない。邪神の世がいいなんてわけないじゃない。誰もそんな勝手な変化なんて望んじゃいない。運命は自分の手で切り開くもの。世の変化はその総意によって決まるもの。決してあなたが決めるものではないわ。決して民は終末を望んだわけじゃない。あなたが望んだのよ。あなたが次の世で邪神の加護を利用して世を支配したいが為に、始めたのよ。民の望みなんて嘘。あなた個人の支配欲の為なのよ」

「何とでも言うが良い。所詮、正義は一つではない。言葉による支配など壊れるがいい」

「うるさいっ!」

 勇者は一瞬にして装備を想形成し、奇夢露に突進した。

 そうそう、その調子です。言葉による支配は壊させません。言葉なくしてどう社会を形成させるというのです。言葉でコミュニケートし、言葉で考える『人』を支配するのはやはり言葉が一番です。それを否定するような愚か者は、潰してしまわないとね。
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